お葬式を迎える前に①

途中で飛ばさずにお読みください。

普伝院(以下末寺を含む)はお葬式を、頼まれれば誰でも受けるようなものではなく、普段からお付き合いのある檀徒に対してのみ行うことを原則にしています。
そしてそのお葬式にかかる「葬儀料」は、菩提寺と檀徒の関係に由来する双方の様々な責務を鑑みて、将来に向かって必要な金額を考慮し設定しています。
あくまでも「菩提寺と檀徒がその関係を恒久的に続けられる」ことを想定し、その目的をなるべく達成できるように、一定の共通ルールに沿ってお預かりしているお金です。だからこそそれなりの金額を提示しています。
ですから昨今よく目にする、商売ベースで大衆迎合的な、安価で行う「その場限りの簡単葬式」は、普伝院は行いません。普伝院のお葬式とそれらとは、在り方も考え方も全く異なるものだからです。
これは大前提として申し上げたうえで、近年頻繁にご相談いただくケースについてお話を進めます。

あなたの伯父(叔父)や伯母(叔母)で未婚でいらっしゃる方、またはご兄弟やご子息で結婚し籍を新たに設けたことはあるけれども、今は離婚して独り身になってしまった方などはいませんか。

上記のような方々は、いざとなれば当然貴家のご尊霊とともにお祀りいただけます。
普伝院がお葬式を行うことで、貴家の墓所へ納骨し、先祖代々といっしょに祀ることができます。ただし、大事なのはここからです。
それには通常通りの葬儀料やその他の必要経費がかかります。
そして執り行うべき事はお葬式だけではありません。その後の四十九日忌や初盆、そして定期的な年回供養など、仏式で祀る責務とその法要は長年にわたって続きます。

それに普伝院が提示する葬儀料などの供養料全般は、前置きで説明したように、菩提寺と檀徒という特別な関係のもとにお預かりしているものです。
重ね重ねですが、費用を抑え内容も著しく簡素化させたようなお葬式を、普伝院は行いません。
ですので、立場上の責務を果たすためだけで一時的に喪主になるだとか、お葬式以後の供養行事をするつもりはなく納骨までで終わらせたいだとか、そのようなお気持ちや計画があるのでしたら、喪主がたとえ檀徒だとしても、そのお葬式は普伝院として引き受けるべきではない、と存じます。

これらのことから、上記の方々のためのお葬式を、もし普伝院が行うものではなく、違うかたちの式典にしたり、他所へ納骨することになったりしても構わないとお考えでしたら、それもぜひ選択肢のひとつに加えておいてください。
当座の葬儀料その他の費用を節約し、そのお金を必要な資金へまわすことで、ご遺族の人生のより良い選択に繋がるのなら、そうするべきだと思うからです。

しかしここで改めて注意してほしい点があります。普伝院が祀るのは、普伝院がお葬式で仏戒を授けた霊位のみです。さらに、普伝院内の墓地にある貴家の墓所へ納骨できる霊位は、普伝院がお葬式をした方のお骨だけです。
この点に関しては、他所のお寺様でも全く同じ約束事であろうと存じますが、少なくとも普伝院はこれを絶対条件にしておりますので、必ずご承知おきください。

人が亡くなってしまった時、喪主様やご遺族は、数日後に控えるお通夜やお葬式の予定を組み立てることばかりに気を取られ、そこに色々な手続きも重なり、冷静な判断ができなくなります。
一方、訃報を受けた和尚としても、急に直面するその状況下では、ご家庭の複雑な事情を全て汲み取った的確なアドバイスをすることは、いささか難しいものです。(例えば既に菩提寺があるのにそれを知らずに他所のお寺様に葬儀を依頼してしまうといった確認不足のトラブルはよく聞く話です)
経済的事情以外にも問題のパターンは無数にありますから、それらを考慮したなるべく最適な解を求めるためには、常日頃からの意思疎通と情報交換が大事です。
ですので、ここまでお読みいただいた機会は決して無駄になさらず、あなたの身の回りにこのようなケースに当たる方が1人でもいらっしゃらないかどうか、ぜひ一度ご確認ください。
そして、いつか来るその時のために、今のうちからよく話し合っておきましょう。

普伝院としても、事前にご相談いただけると助かります。以上、よろしくお願い申し上げます。

久しぶりの行事

先達ては近隣のお寺様を会場にして「曹洞宗梅花流詠賛歌・ご詠歌」の特派講習会が開かれました。じわじわと近づく台風に開催が危ぶまれましたが、どうにか予定通りに執り行うことができました。
https://www.instagram.com/p/Ctbt55GPgZN/?hl=ja
コロナ禍の4年間ほどは完全にお休みをしていた行事ですが、多少の自由が認められるようになったことで、本来はお昼跨ぎのスケジュールのところ午前中のみの行事という、半日講習に抑えるかたちで計画されました。

ここで少し曹洞宗のご詠歌について説明を…
曹洞宗の「梅花流詠賛歌」は、昭和27年に他宗派様のご詠歌唱法や作法を参考にしながら発足したご詠歌で、この分野では比較的新しい世代のものです。
一般の方々にもご興味を持っていただけるような馴染みやすい楽曲をたくさんとり揃え、全国に何万人という多数の講員様が所属する活動になっております。

ちなみに今年の担当特派講師は東京からお越しいただいたわけですが、副住職にとっては懐かしい和尚様でした。嘗てご詠歌の合宿勉強会に参加していたときの同期の方です。同じ釜の飯を食った仲間ですね。
奇遇なご縁をいただいた今回の講習会は、久しぶりの仕切りに少々まごついた点もありましたが、楽しく開催することができました。何よりでございます。

しかし全く梅雨らしい、蒸し暑い日が続いております。
断続的に発生する台風と大雨の予報に、毎日の予定立てが翻弄されますが、これも含めてこの時期の恒例行事のようなものだろうと、甘んじて受け入れるのみでしょう。
そんな天候不順をかいくぐりながら、お檀家様宅へのお施餓鬼供養巡回も予定通り着々と進行中です…合掌。