特集第3弾:灰作務について

※以下の記事は普伝院及び末山寺院檀徒向けのものとなっております。
ご覧いただいている方のお住まいの地区の地域性やそれぞれの宗派によっては、多少違ったものになることがあります。
ここの内容を鵜吞みにせず、是非ともご自身の菩提寺様にご確認ください。

特集第1弾の中にて既に軽くご紹介した「香炉の灰ならし」について、ここではさらに詳しいところへスポットを当ててまいります。
和尚達の世界では上記タイトルの通り「灰作務(はいざむ)」という通称で耳慣れた作業ですが、言葉の違いに特段の意味はありません。
この呼び名のほうが当方としては使い慣れた響きなので、ここでは「灰作務」という言葉も並行して使うことにいたします。

この作業は一般の方々にとって、それほど頻繁にするものではないでしょう。
でも、香炉に線香の燃え残りやホコリが溜まるとだんだん使いにくくなりますし、そのまま放っておいて時間が経ってしまうとゴミ等で中がガチガチに固まってしまい、そのうち掃除も困難になりますので、良いことはありません。
気がついたときにササッと手早く処理してしまいましょう。

さて必要な道具ですが、お寺で和尚が実際に使っているものではあまりにも専門的過ぎますので、一般のお宅で気軽に用意しやすいものに限定して実例を挙げてみました。
是非とも参考にしていただき、今後のお仏壇まわりの掃除に取り入れてみてください。


【香炉】
ここでは香炉本体の話をいたします。
曹洞宗では大きさ・色・形についてそれほど明確に定めていませんし、当山としても基本的にどんなものをお使いいただいても結構です。
ただ、方形の長香炉(ながごうろ)は浄土真宗系の仏事で使う香炉(お線香は寝かせて焚く)だそうですので、これしか無いお宅はぜひ丸形の香炉をお買い求めください。
口が広くてお線香を複数でも立てやすく、脚が安定していて倒れにくい「ズッシリと重い香炉」を、防火管理的にもお勧めします。

【灰】
ある程度圧し固めた時に香炉内容量の6割以上が詰まっていればOKです。
半分以下の量ですと灰の固さを稼げず、線香を挿したときの基礎が弱くなってしまい、安定感が無くなってグラつくので非常に危険です。
足りないときはホームセンター等で買い足しましょう。今では様々な種類の灰(類似品を含む)が販売されておりますので、お好きなものをどうぞ。
ですが敢えて申し上げれば「藁灰・わらばい」という品種は避けてください。これは特別に空気を含みやすい灰なので、性質上お線香を立てにくい(柔らかすぎて倒れる)傾向があります。
既に灰が擦り切りいっぱい、または多めに入っている場合は、少し減らしましょう。そして除けた灰は捨てずに、ビニール袋に入れて保管しておきましょう。
保管する際のビニール袋は必ず2枚以上重ねてしっかりと封をしてください。1枚だけではいつか必ず破れて大変なことになりますよ。

【灰作務のための準備物】
・お菓子等の空き箱(金属で広めが最適)
・ザル(中くらいのサイズ)
・割り箸
・堅絞りの濡れ雑巾
・筆(小筆か中筆)
・スプーン(小または中サイズ)
これら以外に新しく何かを買い足す必要はありません。上記の道具も全て中古で十分です。
なお、灰作務に使った道具はかなり汚れるので、それ以降も灰作務専用にしたほうが良いと思います。
市販の「灰ならしセット」をお使いいただいても良いですが、個人的にはあまりお勧めしません。あれは見た目を綺麗に「見せるため」だけの道具ですので、ここでお伝えするような作業には適していません。

【服装】
・マスク
・ゴーグル(眼鏡等の目を護るもの)
・汚れても良い服
特にマスクは必ずご着用いただき、ゴーグルも極力ご使用ください。

【作業する場所】
あちこち灰だらけになりますので、屋外での作業をお勧めします。予め風下や近くの窓は閉め切っておいてください。
隣家の方々にも迷惑のかからない場所で行いましょう。
室内で出来ないことはないですが、多分途中で後悔します(部屋中灰だらけになります)のでやめたほうが良いでしょう。

【作業に向いている天候】
「晴天・空気が乾燥している・無風状態」これら3条件が全て揃ったら灰作務日和です。
長雨が続いている時節や雨上がり直後は、なるべく作業を避けましょう。
なぜなら、そのような時は灰が湿気を大量に含んでいるのでダマになりやすく、あまり綺麗に仕上がらないからです。


さて、準備はよろしいでしょうか。
以下に解説動画(YouTube)をご用意いたしましたので、作業のお供に(再生を止めて作業を確認しながら)ご覧ください。
ひとつひとつ順を追って詳しく説明しています。

いかかでしたか?
意外に難しかった…または思ったより簡単だった等、実際に手を動かしたことで初めてわかった事が多々あるのではないでしょうか。
以上のことは全て「慣れ」が必要な作業なので、逆に言うと回数を重ねればコツを掴み手際がどんどん良くなると思います。
自己流に工程を加えても省いても、結果的に綺麗に仕上がればOKですからね。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。誠にお疲れさまでございました。
以後のご法事や日常のご供養にお役立ていただければ、幸いでございます。