お彼岸を迎えて


今日は彼岸の入りですね。
お彼岸は、春分および秋分の日をお中日として、全後3日間ずつをあわせた計7日間をいいます。
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉もあるように、季節の変わり目にあたり、いのちの尊さや自然の恵みに感謝しながらご先祖様を供養する行事として、古くから行われてきました。
この期間中、全国の寺院では彼岸の法要が営まれ、また各家庭では「だんご」「おはぎ」「ぼたもち」などを仏壇に供え、そろってお墓参りに出かける光景が見られます。
お彼岸は、私たちにとって大変に馴染みの深い、欠かすことのできない年中行事と言えるでしょう。

この「彼岸」という言葉は、私たちが生きているこちらの世界(此岸・しがん)の対義として、貪りや囚われの無い「悟りの世界」を表しています。
苦惑にまみれたこの世がこちら側ならば、そこから抜け出た安らぎの園はあちら側「彼の岸・彼岸」ということになるのですね。
それでも私達は彼岸を、我が身我が心と共に、現代に生きながらにして求める他ありません。
だからこそ普段の行いを戒め、誠実になることで、少しでも迷いを脱して生きていこうと願い行動する、そのための修行期間が「お彼岸」なのです。

自己を見つめ直しましょう。
今日を生きられる有難さを、家族や友人とまた会える喜びを、その合わせた両手に込めて、お参りに出かけませんか。

桃の節句

先の予報通り、比較的暖かな月初となった3月です。
例により同時期に、花粉が大量に舞い始める頃でもあるわけですが、皆様は大丈夫でしょうか。
私事ですが副住職はここ数年、年が明けてから4月いっぱいまで、点鼻薬の毎日です。

閑話休題、本日は「ひなまつり」ですね。大小さまざまな段飾りや吊し雛など、お家ごとに特徴のあるものが、あちこちで飾られていることでしょう。
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それこそ最近は、新調するにあたって大きい物はあまり選ばれないようですね。
生活スタイルやスペースの変化などに合わせて、店頭では小ぶりな、または簡易的なお飾りが目立って並んでいるように見受けられます。

その発祥や意味を調べてみるのも面白いですよ。
文化の源泉は中国、日本に伝わってからは平安のお公家様たちの遊び、そもそも誰しもが行う一般的なお祭りになったのは徳川幕府の時代からなので、庶民にとっての歴史は比較的浅いわけです。
お内裏様とお雛様のポジション(座位)も、地域によって違うそうですね。
実はこれ、結婚式の高砂の組み方とか、皇室の方々の公的な場での並ぶ位置とか、我々が普段意識していないところに慣習の関係があります。
(ところで白酒や菱餅を実際にいただいた経験がないのですが、あれは美味しいものなのでしょうか。ひなあられは子供の頃に好んで食べていた記憶です。)

準備も後片付けも含めて、ご家族の皆さんで和気あいあいと楽しんでください。
お飾りにとって年に1度のお目見えの日ですから、きっと喜ばれますよ。
昇運来福、合掌。